石綿事前調査の報告義務|解体改修の調査者資格・報告先・記録保存【2026年版】
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石綿事前調査の報告義務|解体改修の調査者資格・報告先・記録保存【2026年版】

2026年8月9日19分で読める

石綿事前調査の報告は、建築物の解体・改修工事の前に有資格者が石綿の有無を調べ、一定規模以上の工事では電子システムで労働基準監督署と自治体へ報告し、調査結果を3年間保存する法定義務です(大気汚染防止法・石綿障害予防規則)。

原状回復や改修、撤去を請け負うビルメン事業者にとって、石綿(アスベスト)の事前調査と報告は「知らなかった」では済まされない領域になりました。2022年4月に報告制度が始まり、2023年10月からは有資格者による調査が義務化されています。

本記事では、報告がいくらから必要か、誰が調査し、どこへ報告し、何年保存するのかを、受注側の実務目線で作業規模別の早見表と手順フローに整理します。

石綿事前調査の報告義務・調査者資格・報告先・記録保存の全体像を示すイラスト
石綿事前調査の報告義務・調査者資格・報告先・記録保存の全体像を示すイラスト

石綿事前調査の報告義務とは(まず結論)

事前調査・報告・記録保存の3つの義務を1分で整理

石綿にまつわる義務は、大きく3つに分けると理解しやすくなります。第一に、解体・改修の前にすべての工事で石綿の有無を調べる「事前調査」。第二に、一定規模以上の工事で行政へ届け出る「報告」。第三に、調査結果を残す「記録の保存」です。

このうち報告は規模の要件がありますが、事前調査そのものは規模を問わず全工事で必要です。「小さい工事だから調査もいらない」という誤解が、対応漏れの典型的な入口になります。

いつから義務化されたか(大防法2022年4月/有資格者2023年10月)

事前調査結果の報告制度は、大気汚染防止法の改正により2022年(令和4年)4月1日に施行されました(電子システムでの報告は同年3月18日から受付開始)。石綿の有無にかかわらず報告が必要で、報告義務を負うのは元請業者です。

さらに石綿障害予防規則(石綿則)の改正で、2023年(令和5年)10月1日以降に着工する建築物の解体等の作業では、有資格者による事前調査が義務づけられました。

石綿の3義務と義務化の時系列を示す図解
石綿の3義務と義務化の時系列を示す図解

報告が必要な作業はどれか(作業規模別 早見表)

報告要否・報告先・調査者資格を1枚で確認できるよう、作業区分ごとに整理しました。

作業区分報告が必要になる規模報告先事前調査を行える者
建築物の解体解体作業対象の床面積の合計80㎡以上労基署+自治体(一括電子報告)建築物石綿含有建材調査者等の有資格者
建築物の改修請負代金の合計100万円以上(税込)同上同上
工作物の解体・改修請負代金の合計100万円以上(税込)同上有資格者(工作物は後述の経過措置あり)

出所: 大気汚染防止法/石綿障害予防規則/環境省「石綿事前調査結果の報告について」。

建築物の解体は床面積80㎡以上が報告対象

建築物を解体する工事は、解体作業の対象となる床面積の合計が80㎡以上のときに報告が必要です。複数フロアにまたがる場合は、対象となる部分の床面積を合算して判定します。

改修・工作物は請負金額100万円以上(税込)が報告対象

建築物の改修工事と、工作物(受変電設備・煙突・配管など)の解体・改修工事は、請負代金の合計額が100万円以上(税込)のときに報告対象となります。原状回復や部分改修は金額で判定されるため、複数の作業をまとめた見積総額に注意が必要です。

報告不要な規模でも事前調査そのものは全工事で必須

閾値を下回り報告が不要な工事でも、事前調査は省略できません。石綿則では、解体・改修の作業を行うときはあらかじめ石綿等の使用の有無を調査すると定めており、この調査義務に規模の下限はありません。報告の要否と調査の要否は別物である、と押さえておきます。

作業規模で報告要否を判定するフローチャートのイラスト
作業規模で報告要否を判定するフローチャートのイラスト

誰が調査するか(調査者資格と手順フロー)

2023年10月から有資格者による事前調査が義務

2023年10月1日以降に着工する建築物の解体等の作業では、有資格者による事前調査が義務です。それ以前から自社で調査していた事業者も、資格者による実施体制への切り替えが求められます。書面調査と現地の目視調査を組み合わせて行う点は従来どおりです。

建築物石綿含有建材調査者などの資格種別

建築物の事前調査を行える資格には、一般建築物石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者、一戸建て等石綿含有建材調査者があります。工作物については、工作物石綿事前調査者による調査が2026年(令和8年)1月1日から義務化される予定のため、工作物を扱う事業者は資格取得の計画を前倒しで検討しておくと安全です。

事前調査→記録→掲示→報告の手順フロー

実務の流れは次のとおりです。着工前に前倒しで進めると、報告忘れや工程遅延を防げます。

  1. 有資格者が書面と目視で事前調査を行う
  2. 調査結果を記録に残す
  3. 作業場所の見やすい位置に調査結果を掲示する
  4. 対象規模の工事は電子システムで報告する
  5. 記録を3年間保存する
事前調査から報告・保存までの5ステップを示す手順フロー図
事前調査から報告・保存までの5ステップを示す手順フロー図

どこへ報告するか(石綿事前調査結果報告システム)

労基署+自治体へ電子システムで一括報告

報告は「石綿事前調査結果報告システム」を通じて電子で行います。このシステムを使うと、労働安全衛生法(石綿則)に基づく労働基準監督署への報告と、大気汚染防止法に基づく自治体(都道府県・大防法政令市)への報告を一括で提出できます。行政機関の開庁時間にかかわらず、パソコンやスマートフォンから提出できる点が特徴です。

報告のタイミングと届け出に必要な情報

報告は工事に着手する前に行います。届け出には、工事の場所・種類・規模、調査を行った資格者の情報、石綿含有建材の有無などが必要です。案件情報が着工直前に固まる現場では、調査から報告までの担当と期日をあらかじめ決めておくと抜けを防げます。

結果の掲示と記録3年保存の義務

作業場所への調査結果の掲示ルール

事前調査の結果は、作業に従事する労働者が見やすい作業場所の位置に掲示する必要があります。掲示は現場でのばく露防止と、行政の立入時の確認のためのものです。報告して終わりではなく、現場掲示までがワンセットである点に注意します。

記録は3年間保存(石綿則)と報告漏れの罰則リスク

事前調査結果の記録は、石綿障害予防規則に基づき3年間保存します。報告義務に違反した場合、大気汚染防止法により30万円以下の罰金が科される場合があります。金額の小さい改修案件でも報告義務は等しく生じるため、案件数が多い受注側ほど管理の仕組み化が重要になります。ビルの点検・届出の全体像はビルの法定点検一覧もあわせて確認しておくと、期限管理を横断的に整えられます。

調査結果の掲示と記録3年保存を示すイラスト
調査結果の掲示と記録3年保存を示すイラスト

小規模ビルメン事業者の対応漏れを防ぐ管理法

案件ごとの調査記録・報告状況を物件マスタで一元管理

対応漏れの多くは、案件が増えたときに「どの現場が調査済みか」「報告したか」を人の記憶や個別のメモで管理していることから起きます。物件・案件単位で調査日、資格者名、報告有無、記録の保存期限をひもづけて残すと、担当が変わっても状況を追えます。基本的な考え方は物件管理台帳の作り方が参考になります。

報告期限・保存年限の抜け漏れをシステムで防ぐ(ビルメンHUB)

ビルメンHUBでは、物件・案件ごとに書類や対応履歴を集約し、期限を可視化して管理できます。着工前の報告、掲示、3年の記録保存といった工程をチェックリストとして案件に残せば、繁忙期でも対応漏れを防ぎやすくなります。元請・下請の役割分担は業務委託契約の基本も確認しておくと安心です。

物件マスタで石綿対応の記録と期限を一元管理する画面イメージ
物件マスタで石綿対応の記録と期限を一元管理する画面イメージ

よくある質問

石綿の事前調査の報告はいくらから必要ですか?

建築物の改修や工作物の解体・改修は請負代金の合計100万円以上(税込)、建築物の解体は解体作業対象の床面積の合計80㎡以上が報告対象です(大気汚染防止法・環境省「石綿事前調査結果の報告について」)。石綿の有無にかかわらず報告が必要です。

石綿の事前調査は誰でもできますか?

いいえ。2023年10月1日以降に着工する建築物の解体等の作業では、建築物石綿含有建材調査者などの有資格者による事前調査が義務です(石綿障害予防規則)。工作物は2026年1月1日から工作物石綿事前調査者による調査が義務化される予定です。

石綿事前調査結果の報告先はどこですか?

「石綿事前調査結果報告システム」を通じて、労働安全衛生法(石綿則)に基づく労働基準監督署と、大気汚染防止法に基づく自治体へ電子で一括報告します。開庁時間を問わずパソコン・スマートフォンから提出できます。

事前調査の記録は何年保存しますか?

事前調査結果の記録は3年間保存が必要です(石綿障害予防規則)。記録には調査日、調査した資格者、石綿含有建材の有無などを残します。

報告が不要な小規模工事でも事前調査は必要ですか?

必要です。報告対象外の規模でも、解体・改修工事では事前調査そのものはすべての工事で必須です(石綿障害予防規則)。報告義務の有無と調査義務の有無は別である点に注意してください。

石綿事前調査の報告を怠るとどうなりますか?

報告義務に違反した場合、大気汚染防止法に基づき30万円以下の罰金が科される場合があります。案件数の多い受注側ほど、報告・掲示・保存の管理を仕組み化しておくことがリスク低減につながります。

まとめ|石綿事前調査は「全工事で調査・一定規模で報告・3年保存」

石綿の事前調査は、建築物の解体で床面積80㎡以上、改修や工作物で請負金額100万円以上(税込)が報告対象で、2023年10月からは有資格者による調査が義務です。報告は労基署と自治体へ電子システムで一括提出し、結果は作業場所へ掲示したうえで3年間保存します。報告が不要な小規模工事でも調査は省けません。受注側のビルメン事業者は、案件ごとの調査・報告・保存の状況を物件管理台帳で一元化し、ビルの法定点検一覧と合わせて期限を抜け漏れなく管理することが、コンプライアンスと受注機会の両立につながります。


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