
36協定と1年単位の変形労働時間制|清掃シフト設計【2026年版】
1年単位の変形労働時間制と36協定は別の仕組みであり、清掃会社は年間の所定シフトと実際の時間外労働を分けて管理します。
日常清掃は固定的でも、床・ガラスの定期清掃、年末作業、欠員応援が重なる月には必要人員が変わります。繁忙月だけ後から所定時間を増やすのではなく、契約作業を12か月へ置き、対象者、労働日、各日の所定時間を事前に設計することが出発点です。実績が所定を超えた場合は、36協定や割増区分の確認を別の層で行います。
1年単位の変形労働時間制は、1か月を超え1年以内の対象期間を平均して週40時間以内となるよう、労働日と労働時間を定める制度です。(労働基準法第32条の4)
この記事では、36協定との役割を分け、清掃の繁閑を所定シフトへ落とし、予定と実績を照合する実務に絞って解説します。
36協定と1年変形の違い早見表

1年変形は所定時間を配分する
労働基準法第32条は、原則として1日8時間、1週40時間を法定労働時間としています。同法第32条の4の1年単位の変形労働時間制は、1か月を超え1年以内の対象期間を平均して週40時間以内となるよう、労働日と各日の所定労働時間を事前に配分する制度です。
清掃会社では、日常清掃、定期清掃、年次作業を年間カレンダーへ置き、繁忙と閑散を確認します。制度の導入可否や具体的な手続は就業規則、労使協定、対象者などと合わせて専門家へ確認します。単に月ごとの総時間を平均すればよい制度として扱わず、事前に定めた所定カレンダーを基準にします。
36協定は時間外・休日労働に備える
同法第36条の36協定は、法定時間外・休日労働をさせる場合の協定です。1年変形で所定時間を配分しても、実際の勤務が法定時間外等に当たる場面は別に確認します。変形制を使えば時間外がなくなる、36協定が不要になるとは決められません。
| 制度・層 | 主な目的 | 基準データ | 予定変更 | 実績確認 |
|---|---|---|---|---|
| 通常シフト | 所定の勤務を配置 | 契約作業・就業ルール | 社内手順で管理 | 始終時刻と照合 |
| 1年単位の変形 | 所定時間を年間配分 | 労働日・各日の時間 | 後付け変更を避ける | 対象期間で確認 |
| 36協定 | 法定時間外・休日労働 | 協定の対象・範囲 | 所定変更とは別 | 時間外区分を確認 |
この比較は制度の役割を整理するもので、協定や就業規則の法的有効性を判定するものではありません。
清掃業の年間繁閑を棚卸しする

年間の契約作業と繁閑を棚卸しする
まず、全物件の日常、定期、年次、追加見込みの作業を12か月へ配置します。日常清掃は曜日と時間帯、定期清掃は実施月と作業窓、年次作業は休館日や繁忙期を記録します。契約確定分と追加の可能性を分け、受注見込みを確定シフトへ入れません。
作業ごとに必要人数、資格・技能、責任者、所要時間、移動を置き、月・週・日で必要人工を集計します。物件の予定は顧客都合で変わるため、候補日と確定日を分けます。清掃会社のアルコールチェック記録が必要な車両利用も、早朝・拠点別の確認担当と合わせて年間予定へ反映します。
定期・年次清掃の繁忙を置く
定期清掃や年次作業が集中する時期には、通常シフトの応援で足りるのか、所定カレンダー自体の設計へ反映すべきかを分けます。大型作業を一つの月へ寄せず、顧客の作業窓、期限、機材、資格者を見ながら分散可能性を確認します。欠員対応は予測できる繁閑と突発事象を別にします。
繁閑表は人を長く働かせる根拠ではなく、必要人員と所定シフトを事前に整合させる資料です。業務量が所定人員を継続的に超えるなら、採用、応援、外注、契約日程の調整も比較します。任意の時間数を作らず、実際の契約と就業ルールを入力します。
年間カレンダーを制度へ合わせる

対象者・期間・労働日・時間を設計する
1年変形を検討する場合は、対象者、対象期間、起算日、労働日、各日の所定労働時間を明確にします。日常班、定期班、管理者など働き方が異なる人を一括せず、対象範囲と実際の作業予定を照合します。就業規則や協定と年間カレンダーの名称・日付が一致するよう確認します。
所定カレンダーは、契約作業、月、所定シフト、実績、時間外区分、対応協定の6列で作ります。変更が必要になった場合は、制度上可能な範囲と手順を専門家へ確認し、当初予定、変更理由、承認、適用日を残します。
| 契約作業 | 月 | 所定シフト | 実績 | 時間外区分 | 対応協定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日常清掃 | 各月 | 対象者・所定日・所定時間 | 始終時刻・差異 | 法定内・法定外等 | 該当有無 |
| 定期清掃 | 実施月 | 事前に配置 | 実施結果 | 差異を判定 | 該当有無 |
| 年次作業 | 実施月 | 事前に配置 | 実施結果 | 差異を判定 | 該当有無 |
| 追加・欠員対応 | 発生月 | 当初予定との関係 | 実績 | 時間外区分 | 確認結果 |
36協定の時間外レイヤーを分ける
年間カレンダーの上段は所定シフト、下段は実際の法定時間外・休日労働を確認する層にします。所定シフトへ追加作業を上書きすると、当初予定と時間外の発生理由が分からなくなります。追加指示、開始・終了、承認者、対象物件を実績へ残します。
36協定の対象や上限は、自社の現行協定と法令を確認します。この記事では確認していない具体時間を一般的な上限として追加しません。所定の配分と実績の時間外判定を別担当にしても、同じ従業員・日付・物件で照合できるようにします。
所定カレンダー、物件予定、担当シフトを一つの軸で確認するなら、ビルメンHUBの機能で物件マスタとシフトのつながりを確認できます。
予定と実績を分けて管理する

実績と割増区分を記録する
実績には始業、終業、休憩、作業物件、追加指示、移動・待機の事実を記録します。所定予定との差があれば、単に超過分を合計せず、法定内・法定外、休日、深夜など、自社の就業ルールと労働基準法第37条に基づく割増区分を確認します。
移動時間の扱いは予定表だけで決められません。直行直帰・現場間移動の判断に沿って、会社指示、自由利用、資材運搬、待機拘束を記録し、確認後の区分を実績へ反映します。打刻があるだけで時間の法的性質が確定するとは扱いません。
予定と実績の差異を月次で確認する
月次では、所定予定、実績、差異理由、時間外区分、承認、賃金計算への反映を突合します。差異を欠員、追加受注、顧客都合、移動、入力誤りなどへ分けると、翌月の人員配置へ返せます。実績を予定へ合わせて修正せず、訂正履歴を残します。
差異が継続する物件は、所要時間の見直し、作業分担、契約日程、人員の追加を検討します。1年変形のデメリットとして、事前設計と実績管理が複雑になり、後付けの変更では処理できない点があります。制度を使うこと自体を目的にせず、通常シフトとの運用負荷も比較します。
ビルメンHUBで物件予定とシフトを照合

物件の作業予定を参照する
ビルメンHUBでは、取引先・物件ごとの作業予定、注意事項、担当を整理できます。確定した年間カレンダーから物件の実施日を参照し、シフトへ担当者を割り当てます。1年変形や36協定の法的判定を代行する機能ではなく、自社が決めた所定予定を現場へ伝える用途です。
物件予定が変わった場合は、元の予定を残して変更日、理由、承認者を記録します。担当だけを差し替えず、移動、車両、作業窓への影響も確認します。
シフト・作業実績を突合する
シフトと写真付き作業報告を物件・担当・日付で突合し、予定に対する実施、未実施、追加作業を確認できます。始終時刻の正式な勤怠記録と照合し、差異があれば事実を確認します。写真の時刻だけで労働時間を確定しません。
ビルメンHUBなら、物件予定、シフト、作業報告を同じ軸で参照できます。所定カレンダーと時間外の二層を自社ルールで維持し、月次の差異確認へ必要な現場事実をそろえられます。
よくある質問
変形労働時間制を導入すれば36協定は不要ですか?
不要とは限りません。労働基準法第32条の4の1年単位の変形労働時間制は所定労働時間の配分、同法第36条の36協定は法定時間外・休日労働のための協定です。実績が時間外となる場面を別に管理します。(労働基準法第32条の4・第36条)
清掃の繁忙月だけ長く働かせればよいですか?
後から都合よく変える制度ではありません。労働基準法第32条の4に沿って、対象期間、労働日、各日の労働時間などを事前に定め、予定と実績を照合します。(労働基準法第32条の4)
36協定の様式や提出期限もこの記事で扱いますか?
主題にしません。清掃会社が契約予定を所定シフトへ落とし、実績との差を管理する実務に限定します。
移動時間を所定時間へ含めるかも同時に決められますか?
移動の労働時間性は別論点です。直行直帰・現場間移動の事実関係を整理したうえで、シフトと実績へ反映します。
まとめ|所定シフトと時間外を二層で管理する
1年変形は所定時間の年間配分、36協定は法定時間外・休日労働のための別制度です。清掃の契約作業と繁閑を12か月へ置き、対象者、労働日、時間を事前に設計します。所定予定を残したまま実績と差異を記録し、時間外・割増区分を別層で確認してください。
物件の作業予定と所定シフト、現場実績を同じ軸で照合しませんか。ビルメンHUBは、物件マスタ、シフト、写真付き作業報告を一つの流れへつなぎます。


