
清掃現場の熱中症対策ガイド|高温環境での予防と高齢スタッフの体調管理【2026年版】
熱中症とは、高温環境下で体温調整機能がうまく働かなくなり、体内の水分・塩分バランスが崩れることで生じる症状の総称です。屋外作業や空調の効かない場所での清掃業務は、発症リスクが特に高い環境とされています。
夏場の清掃現場には熱中症リスクが重なります。屋外駐車場・空調のない廊下や倉庫・重機作業は体に熱がこもりやすく、高齢スタッフの多い業界では暑さへの対応力低下が課題です。本記事は従業員5〜30名規模の清掃・ビルメンテナンス会社向けに、厚生労働省の枠組みをベースに予防・管理・緊急対応のポイントをまとめます。

清掃現場に特有の熱中症リスクを理解する

清掃現場には、一般職場とは異なる特有のリスクが複数積み重なっています。
作業環境の3つのリスク要因
清掃現場の熱中症リスクは、主に次の3つの要因から生じます。
高温・多湿な作業空間: 屋外駐車場や外構清掃は直射日光を受け、地下駐車場・機械室・廊下など空調のない室内は熱がこもりやすく、体感温度が外気温を上回ることもあります。
高強度の身体作業: ポリッシャーや高圧洗浄機などの重機作業や、しゃがみ・移動を繰り返す動作は発熱量が大きく、体の内側からの体温上昇が外の暑さと重なります。
水分・休憩確保の難しさ: 顧客施設での業務のため休憩が取りにくく、「利用者の目に触れる時間帯に休まない」文化の現場ではスタッフが無理をしがちです。
業界特有の人的リスク——高齢化の問題
清掃・ビルメンテナンス業は他業種よりスタッフの年齢層が高い傾向があります。加齢とともに発汗・体温調整機能や口渇感が低下し、「まだ大丈夫」と感じている段階で脱水が進むケースがあります。
高齢スタッフの定着は重要な課題で、清掃員の定着率を上げる方法と体調管理の両立が求められます。通年での健康管理の仕組みを整備しましょう。
熱中症予防の基本4要素|WBGT・水分・休憩・服装

厚生労働省「職場における熱中症の予防について」は、「WBGT把握」「水分・塩分補給」「休憩確保」「服装選択」の4点を基本方針として示しています。清掃現場ではこの4要素を実態に合わせて運用します。具体的な数値基準は厚生労働省の最新ガイドラインを直接ご確認ください。
WBGT(暑さ指数)で作業可否を判断する
WBGTは気温・湿度・輻射熱を組み合わせた暑さ指数で、気温だけでは見えない「蒸し暑さ」を加味したリスク評価ができます。
携帯型WBGT計は比較的安価で清掃現場にも持ち込めます。作業前に計測し、指数が高い場合は作業時間の短縮や休憩増加の判断に活用します(基準値の詳細は厚生労働省の公式資料を参照)。
水分・塩分補給のルールを明文化する
「こまめな水分補給」では現場に伝わりにくいため、「30分ごとに補給の時間を取る」「塩分タブレットを持参する」など、スタッフが自動的に補給できる仕組みにすることが重要です。
「気がついたとき」でなく「時間で強制する」設計が、高齢スタッフの口渇感低下による脱水予防につながります。
作業時間と休憩の組み合わせを設計する
休憩を取りにくい現場では、シフトに休憩を組み込むことが効果的です。時刻で指定するとスタッフが自己判断で省略しにくくなります。詳細は清掃シフト管理の最適化を参照してください。
気温が最も高くなる午後の早い時間帯には、屋外作業を室内作業に切り替えるスケジュール設計も有効です。
服装・装備の選択で体感温度を下げる
| 対策項目 | 内容 |
|---|---|
| 素材 | 通気性・吸湿速乾性の高い素材を選ぶ |
| 色 | 白・薄い色は熱を吸収しにくい(作業服の選定基準として活用) |
| 帽子・日よけ | 屋外作業時は必ず着用。ヘルメット着用現場では通気性タイプを選択 |
| ネッククーラー | 首元を冷やす冷感グッズは即効性が高く、屋外作業に特に有効 |
| 冷却ベスト | 高齢スタッフや重機担当者に用意すると身体負荷の軽減効果が大きい |
服装は会社として基準を設けて支給・推奨することで、スタッフ間の対策のばらつきを減らせます。
ビルメンHUBでは現場の注意事項(熱中症警戒・水分補給タイミング等)を作業指示に登録してスタッフのスマホに通知し、体調管理ルールを確実に周知できます。
高齢スタッフの体調管理を強化するポイント

高齢スタッフは熱中症リスクが特に高いため、全体ルールに加えて個別の配慮が必要です。
夏季の現場体調管理チェックリスト(自社整理版)
ビルメンHUBの実務担当者ヒアリングをもとにまとめた「夏季の現場体調管理チェックリスト」です。朝礼や作業開始前の確認項目として活用してください。
| チェック項目 | タイミング | 担当 |
|---|---|---|
| 前日の睡眠・食事状況を本人に確認 | 出勤時・朝礼 | 現場リーダー |
| 体温・体調の自己申告を実施 | 出勤時 | 本人+リーダー |
| WBGTまたは気温を計測・記録 | 作業前 | リーダー |
| 水分・塩分補給アイテムの携帯確認 | 作業前 | 本人 |
| 作業中の顔色・発汗量を目視確認 | 30〜60分ごと | リーダー |
| 高齢スタッフへの声がけ実施 | 作業中 | リーダー |
| 休憩中の状態(ぐったり感・めまい)確認 | 休憩時 | リーダー |
| 作業後の体調確認・帰宅可否の判断 | 終業時 | リーダー |
現場の実態に合わせて項目を追加・変更してください。高齢スタッフが複数いる現場では個別の持病や服薬状況の把握も求められます。
持病・服薬情報の事前把握
循環器系の持病や利尿作用のある薬の服用者は熱中症リスクが高まります。採用・配属時に本人同意のもと健康状態を把握し、猛暑日の屋外作業を避ける配慮が重要です(詳細は厚生労働省や所轄労働基準監督署を参照)。
高齢スタッフを孤立させない現場設計
単独作業の多い現場では、異変があっても気づかれない「孤立リスク」があります。高齢スタッフは意識的にペアを組む、または一定時間ごとの連絡確認(チェックイン制)を導入して孤立を防ぎましょう。
人材不足で一人現場が増えているケースでは、清掃業の人手不足対策とあわせて、高齢スタッフの安全を担保できる体制整備を検討してください。
熱中症が疑われる場合の緊急対応フロー

万全の予防策を講じていても熱中症が起きてしまう場合があります。迅速・正確な初動対応ができるかどうかが重症化を防ぐ分かれ目です。
症状の重さによる対応の分岐
めまい・大量の汗・筋肉のけいれんなど初期症状では涼しい場所へ移動して水分・塩分を補給します。意識の混濁・高体温・反応低下など重篤な症状は迷わず119番通報してください。
症状区分と処置の詳細は、厚生労働省・消防庁の最新資料を現場に掲示しておくのが確実です。
対応マニュアルを現場に設置する
緊急時に備え、「誰が何をする」を文書化した対応マニュアルを現場の目立つ場所(休憩室・車内等)に置きます。最低限次の4項目を含めてください。
- 救急要請先(119番)と事業者の緊急連絡先
- 最寄りの医療機関の住所と電話番号
- 応急処置の手順(涼しい場所への移動・冷却・体位の保持)
- 現場責任者・会社への報告連絡ルート
発生後の記録と再発防止
発生後は「どの現場で・何時頃・どのような症状で」といった状況を記録し、予防対策の実施有無を振り返ります。
記録に基づく手順見直しや配置変更は、清掃品質のばらつきをなくす方法の観点からも安全・品質の両面で改善につながります。
ビルメンHUBでは現場の状況メモや体調確認記録をスマホから入力し、事業所側がリアルタイムで確認できます。詳しくはビルメン現場のスマホ活用術もあわせてご覧ください。
よくある質問
清掃現場で熱中症が起きやすいのはどんな状況ですか
空調のない室内(地下駐車場・廊下・倉庫等)や直射日光の当たる屋外作業で特にリスクが高くなります。重機を使う高強度作業では体内発熱も重なるため、外気温が高い日には注意が必要です。休憩を取りにくい現場環境もリスクを高める要因です。
WBGTとは何ですか。どのように現場で使いますか
WBGTは暑さ指数とも呼ばれ、気温・湿度・輻射熱を組み合わせて熱中症リスクを数値化する指標です。厚生労働省が職場での活用を推奨しており、携帯型の計測器で現場でも計測できます。数値が高い日は作業時間を短縮したり休憩を増やしたりする判断基準として使います。具体的な基準値は厚生労働省のガイドラインをご確認ください。
高齢スタッフへの熱中症対策で特に気をつけることは何ですか
加齢により発汗・体温調整機能や口渇感が低下し、「まだ大丈夫」と感じていても脱水が進むケースがあります。時間を決めた水分補給・定期的な声がけ・ペア制が効果的です。持病や服薬状況も事前に把握しておくことをお勧めします。
熱中症が疑われるスタッフへの初動対応はどうすればいいですか
まず涼しい場所に移動させ衣服をゆるめ、水分・塩分を補給します。意識の混濁・高体温など重篤な症状はためらわず119番通報してください。症状区分の詳細は消防庁・厚生労働省の最新資料を現場に掲示しておくのが確実です。
熱中症対策として会社がやるべき最初のことは何ですか
「予防ルールの明文化」と「緊急対応マニュアルの作成・設置」の2点から着手します。水分補給・休憩・体調確認の頻度をルールとして文書化し全スタッフに周知したうえで、現場に対応手順を設置しておくことで慌てずに初動対応ができます。
まとめ|予防・管理・緊急対応を一体で設計する
清掃現場の熱中症対策は、WBGT把握・水分と塩分補給・休憩組み込み・服装整備の4要素を土台に、高齢スタッフへの個別配慮と緊急対応マニュアルをセットで設計します。ルールを文書化し全スタッフへ周知することが出発点。「口頭の注意喚起」にとどめず仕組みとして組み込むことで夏季の事故リスクを大幅に減らせます。
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