ビルメン・清掃に建設業許可は必要か|原状回復や設備改修の要否判定【2026年版】
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ビルメン・清掃に建設業許可は必要か|原状回復や設備改修の要否判定【2026年版】

2026年8月4日21分で読める

ビルメン・清掃で建設業許可が必要かは、請け負う内容が「建設工事」で、かつ1件あたりの請負代金が税込500万円(建築一式工事は税込1,500万円)以上かどうかで決まります。原状回復や設備の改修・修繕がこの金額以上なら許可が必要で、それ未満の「軽微な工事」や純粋な清掃・保守なら許可なしで請け負えます(建設業法第3条・同施行令第1条の2)。

清掃やビルメンテナンスを受託していると、退去後の原状回復や設備の改修・修繕まで頼まれる場面が出てきます。このとき「清掃業なのに建設業許可がいるのか」「登録や資格を持っていれば足りるのか」と迷い、無許可で請け負ってしまうリスクを抱える事業者は少なくありません。

本記事では、あなたの請負に建設業許可が要るかを3ステップで判定するフローと、建設業許可・建築物衛生法の登録・技術者資格の違い、許可が必要になった場合の要件と手続き、500万円ラインを事故なく管理する実務までを一次ソースで整理します。

清掃・ビルメンの請負で建設業許可が必要か判定する全体像を示したイメージ図
清掃・ビルメンの請負で建設業許可が必要か判定する全体像を示したイメージ図

建設業許可とは|清掃・ビルメンの請負で問題になる場面

建設業許可の定義と「軽微な工事」という例外

建設業許可とは、建設工事の完成を請け負う営業をするために必要な許可です(建設業法第3条)。ただし同条のただし書と施行令第1条の2により、「軽微な建設工事」だけを請け負う場合は許可が不要とされています。軽微な建設工事とは、工事1件の請負代金が税込500万円未満(建築一式工事は税込1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事)にとどまる工事を指します。

つまり、建設工事を請け負うかどうかと、金額が500万円ラインを超えるかどうかの2つが、要否判定の軸になります。

純粋な清掃・保守そのものは建設業許可の対象外

日常清掃・定期清掃・巡回点検・消耗品交換といった「維持管理そのもの」は、建設工事に当たらないため建設業許可は不要です。許可が問題になるのは、清掃・保守に付随して原状回復や設備の改修・修繕といった建設工事を請け負う場合です。自社の請負範囲が「清掃・保守」なのか「建設工事」なのかを切り分けることが、判定の出発点になります。

【判定フロー】あなたの請負に建設業許可は要るか

建設業許可の要否を3ステップで判定するフローチャート
建設業許可の要否を3ステップで判定するフローチャート

Step1・2:建設工事に当たるか+税込500万円(建築一式1,500万円)ライン

まず、その請負が建設工事(原状回復の内装補修・床仕上・設備の改修や修繕など)か、純粋な清掃・保守かを判定します(Step1)。建設工事に当たる場合は、その工事1件の請負代金が税込500万円以上か、建築一式工事なら税込1,500万円以上かを確認します(Step2・建設業法施行令第1条の2)。金額未満なら軽微な工事として許可なしで請け負えます。

Step3:原状回復・設備改修・修繕はどの工種か

金額ラインを超える場合は、その工事がどの業種(工種)に当たるかを当てはめます(Step3)。原状回復のクロス張替や床仕上は内装仕上工事業、配管の改修は管工事業、電気設備の改修は電気工事業、防水は防水工事業といった具合です。工種の当てはめは国土交通省『建設業許可事務ガイドライン』を確認します。

3ステップ判定フロー早見表

ステップ確認すること判定
Step1請け負う内容は建設工事(原状回復の内装補修・設備の改修/修繕等)か、純粋な清掃・保守点検か清掃・保守のみ → 許可不要/建設工事を含む → Step2へ
Step2その工事1件の請負代金は税込500万円(建築一式は税込1,500万円)以上か未満 → 軽微な工事で許可不要/以上 → Step3へ
Step3該当する工種(内装仕上・管・電気・防水・塗装等)は何か工種を特定し、その業種の建設業許可を取得

出所: 建設業法第3条・同施行令第1条の2、国土交通省『建設業許可事務ガイドライン』

許可・登録・資格はどう違う?適用法別の早見表

建設業許可・建築物衛生法の登録・技術者資格の違いを比較したイメージ図
建設業許可・建築物衛生法の登録・技術者資格の違いを比較したイメージ図

建設業許可/建築物衛生法の登録/技術者資格の違い早見表

清掃・ビルメン業では「許可」「登録」「資格」が混在し、混同されがちです。これらは適用法も監督官庁も別の制度です。

項目建設業許可建築物衛生法の登録技術者資格
根拠法建設業法建築物衛生法(第12条の2)各資格の根拠法
対象建設工事の請負(原状回復・改修・修繕等)清掃・空気環境測定・貯水槽清掃等の維持管理業務個人の技能・知識の証明
監督官庁国土交通大臣/都道府県知事都道府県知事資格ごとの所管
位置づけ事業者の許可事業者(営業所)の登録個人の資格
有効期間5年ごとに更新6年ごとに更新資格による

出所: 建設業法、建築物衛生法第12条の2

建築物衛生法の登録は、建築物清掃業をはじめ8業種について営業所単位で都道府県知事の登録を受ける制度です。登録の詳細は建築物清掃業の登録制度の記事もあわせてご確認ください。

よくある混同:「登録」や「資格」があっても許可の代わりにはならない

建築物衛生法の登録を受けていても、清掃管理者などの技術者資格を持っていても、それらは建設工事の請負を認めるものではありません。500万円以上の建設工事を請け負うなら、別途、該当する業種の建設業許可が必要です。制度ごとに求められる手続きが独立している点に注意します。

許可が必要になったら|取得要件と申請手続き

一般建設業許可の主な要件と申請手続きの流れを示したイメージ図
一般建設業許可の主な要件と申請手続きの流れを示したイメージ図

一般建設業許可の主な要件(経管・専任技術者・財産的基礎ほか)

一般建設業許可を受けるには、次の要件を満たす必要があります(建設業法第7条ほか)。

要件内容
経営業務の管理責任者建設業の経営経験を持つ者(原則5年以上等)を常勤で配置
専任技術者営業所ごとに、資格または実務経験を持つ技術者を専任で配置
誠実性請負契約に関して不正・不誠実な行為をするおそれがないこと
財産的基礎自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力等
欠格要件過去の不正等の欠格事由に該当しないこと

出所: 国土交通省『建設産業・不動産業:許可の要件』(建設業法第7条)

申請先・手数料・標準処理期間の目安

営業所が1つの都道府県内だけにある場合は都道府県知事許可、複数都道府県にある場合は国土交通大臣許可を申請します。知事許可・一般建設業の新規申請では法定手数料は9万円が目安です(自治体により証紙・納付方法が異なります)。標準処理期間は自治体ごとに定められ、書類受理から一定期間を要するため、受注計画に余裕を持って準備します。許可の有効期間は5年で、継続するには更新申請が必要です。個別の可否は許可行政庁への事前相談が確実です。

500万円ラインを事故なく管理する実務

案件ごとに請負金額と工種を記録して500万円ラインを管理するイメージ図
案件ごとに請負金額と工種を記録して500万円ラインを管理するイメージ図

請負金額の数え方(材料費・消費税込み・分割の禁止)

500万円ラインは「見た目の工事費」ではなく、次のルールで判定します。ここを誤ると無許可請負になりかねません。

チェック項目判定ルール
消費税税込で判定する(消費税・地方消費税を含む)
材料費注文者が材料を支給する場合は、その材料費相当額を加算して判定
分割契約1つの工事を分割しても合算して判定(許可回避目的の分割は不可)

出所: 建設業法施行令第1条の2、国土交通省『建設業許可事務ガイドライン』

たとえば工事費450万円でも、注文者支給の材料が80万円あれば合算530万円となり、税込で500万円ラインを超えて許可が必要になり得ます。

案件ごとに請負金額と工種を記録する運用

要否判定を毎回正確に行うには、案件ごとに「請負内容(清掃/建設工事)・工種・税込請負金額・支給材料の有無」を記録し、500万円ラインに近い案件を可視化しておくことが有効です。案件管理と原価を一元化しておくと、判定漏れや意図しない分割を防げます。案件別の採算管理の考え方は、案件別採算管理の記事もあわせてご覧ください。

よくある質問

清掃業に建設業許可は必要ですか?

日常清掃・定期清掃・保守点検など「清掃・維持管理そのもの」は建設工事に当たらず、建設業許可は不要です。許可が問題になるのは、原状回復・内装補修・設備改修や修繕など「建設工事」を請け負う場合で、かつ1件の請負代金が税込500万円(建築一式は税込1,500万円)以上のときです(建設業法第3条・施行令第1条の2)。

原状回復工事に建設業許可は要りますか?

原状回復でも、クロス張替・床仕上・間仕切など建設工事に該当する作業を請け負い、1件の請負代金が税込500万円以上になると、原則として建設業許可(内装仕上工事業等)が必要です。500万円未満の「軽微な工事」なら許可なしで請け負えます(建設業法第3条ただし書・同施行令第1条の2)。工種の当てはめは国土交通省『建設業許可事務ガイドライン』を確認します。

税込500万円は消費税を含みますか?材料費は?

含みます。軽微な工事の判定金額(税込500万円/建築一式は税込1,500万円)は、消費税および材料費を含めた請負代金の総額で判断します。注文者が材料を支給する場合は、その材料費相当額を加えて判定します(建設業許可事務ガイドライン)。

1件を複数契約に分ければ500万円未満にできますか?

できません。本来1つの工事を、許可を避ける目的で意図的に分割した場合は合算して判定されるため、分割による回避は認められません(建設業許可事務ガイドライン)。実態として一体の工事かどうかで判断されます。

建築物衛生法の「登録」を受けていれば建設業許可は不要ですか?

別制度なので代わりにはなりません。建築物衛生法の登録は清掃・空気環境測定・貯水槽清掃など維持管理業務についての都道府県知事の登録制度で(第12条の2)、建設工事の請負を認める建設業法の許可とは適用法・監督官庁が異なります。両方に該当する業務を行うなら、それぞれの手続きが必要です。

設備の点検・保守だけなら許可はいりませんか?

点検・清掃・消耗品交換など維持管理にとどまる範囲は建設工事に当たらず、建設業許可は不要と整理されるのが一般的です。ただし部材の交換を伴う改修・修繕は工種(管工事・電気工事等)に該当し得るため、請負代金が税込500万円以上になる場合は許可の要否を工種ごとに確認してください。個別判断は許可行政庁への事前相談が確実です。

まとめ|清掃・ビルメンの建設業許可は「工事か×金額」で判定する

清掃・ビルメンの建設業許可は、(1)請負が建設工事か、(2)税込500万円(建築一式は税込1,500万円)以上か、(3)どの工種か、の順で判定します。純粋な清掃・保守は対象外ですが、原状回復や設備改修が金額ラインを超えると許可が必要です。金額は消費税・支給材料込みで数え、分割による回避はできません。建設業許可は建築物衛生法の登録や技術者資格とは別制度である点も押さえておきましょう。あわせて、清掃業の登録手続きを扱う建築物清掃業の登録制度ビルメン資格一覧も参考に、自社の請負範囲に必要な手続きを整理してください。


500万円ラインの判定を仕組みで防ぐ

工事か清掃か、税込金額はいくらか、工種は何か——案件ごとの記録があれば、無許可請負のリスクは大きく下げられます。『建設業許可 要否セルフ判定チェックリスト(税込500万円ライン・工種当てはめ・請負金額の数え方)』をダウンロードいただけます。案件別に請負金額・工種・原価を記録したい方は、官公庁清掃の入札参加案件別採算管理の運用とあわせてご相談ください。

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