
マンション清掃の受注ガイド|管理会社案件の戸数別頻度と月額費用の目安【2026年版】
マンション清掃の受注は、管理会社・管理組合が発注元となる継続案件が中心で、戸数規模に応じて日常清掃(週1〜毎日)と定期清掃(共用部の床・ガラス等を月次〜年次)を組み合わせ、月額で提案するのが基本です。
新規開拓のたびに単発の清掃案件を追いかけていると、売上が安定しません。マンションの共用部清掃は、管理会社・管理組合との年間契約で継続受注できるため、事業の土台になりやすい領域です。
本記事では、発注元の構造から戸数規模別の頻度・月額費用の目安、共用部の作業範囲、継続受注のコツまでを、早見表とチェックリストで整理します。

マンション清掃の受注構造|発注元と契約の基本
まず押さえるべきは「誰が発注するのか」です。マンション清掃は発注ルートと契約形態が独特で、ここを理解しないと提案先を間違えます。

発注元は管理会社と管理組合|それぞれの発注ルートの違い
分譲マンションでは、区分所有者全員で構成される管理組合が管理の主体です(建物の区分所有等に関する法律 第3条=区分所有者の団体)。ただし実務では、管理組合が委託した管理会社が清掃業者を選定・発注するケースが中心になります。賃貸マンションはオーナーまたは管理会社が発注元です。
したがって、清掃会社がまず開拓すべきは地域の管理会社ルートです。管理組合への直接提案(管理会社を介さない自主管理物件)や紹介ルートも並行して狙います。
日常清掃・定期清掃・特別清掃の3区分と役割
国土交通省のマンション標準管理委託契約書は、管理事務を事務管理業務・管理員業務・清掃業務・建物設備管理業務の4つに分類しており(同契約書 第3条・別表)、清掃業務は独立した委託業務として位置づけられています。
清掃業務はさらに、高頻度で美観を保つ「日常清掃」、機械を使う専門作業の「定期清掃」、原状回復や特殊汚染に対応する「特別清掃」の3区分に分かれます。マンション案件は日常清掃と定期清掃の組み合わせが基本です。
年間・月額の継続契約が基本になる理由
共用部の美観維持は毎日発生する需要のため、スポットではなく年間契約・月額固定で受けるのが通例です。発注側も予算を管理費から継続的に計上するため、単発より継続を好みます。
なお共同住宅は、建築物衛生法の特定建築物(興行場・店舗・事務所等が対象用途)には原則該当しません。延べ面積が3,000平方メートル以上でも、住宅用途は特定用途に含まれないためです。ビル清掃のような法令由来の頻度義務ではなく、仕様書で頻度を取り決める点が特徴です。
戸数規模別の頻度×月額費用の目安【独自早見表】
提案の中心になるのが、戸数規模ごとの頻度と月額費用の設計です。以下は自社(ビルメンHUB)の見積実績を再構成し、国土交通省『マンション総合調査』の管理費内訳(清掃費)を参考に戸数按分した目安レンジです。立地・築年・仕様で変動する点に留意してください。

| 戸数規模 | 日常清掃の頻度 | 床機械洗浄 | ガラス清掃 | 排水溝・側溝 | 月額清掃費の目安レンジ |
|---|---|---|---|---|---|
| 〜30戸(小規模) | 週1〜2回 | 季1 | 年1〜2回 | 年1回 | 月2万〜5万円程度 |
| 〜50戸(中規模) | 週2〜3回 | 月1〜季1 | 季1〜年2回 | 年1〜2回 | 月5万〜12万円程度 |
| 100戸〜(大規模) | 週3〜毎日 | 月1 | 季1 | 年2回 | 月15万〜40万円程度 |
出所: 自社見積実績の再構成+国土交通省『マンション総合調査』の管理費内訳を参考に戸数按分。金額は目安レンジであり実際の見積は現地調査で確定します。坪単価ベースの相場感はビル清掃の料金相場の記事も参照してください。
〜30戸(小規模)の日常×定期頻度と月額目安
小規模は日常清掃を週1〜2回に抑え、定期清掃は床機械洗浄を季1・ガラスを年1〜2回に組むのが一般的です。管理員が常駐しない物件も多く、清掃会社が美観維持の主役になります。月額の清掃費は目安で月2万〜5万円程度に収まりやすい規模です。
〜50戸(中規模)の日常×定期頻度と月額目安
中規模は共用部の利用が増えるため、日常清掃を週2〜3回に上げ、床機械洗浄を月1〜季1、ガラスを季1〜年2回に設定します。エレベーターやゴミ置場の負荷も上がるため、定期メニューの頻度で差がつきます。月額の目安は月5万〜12万円程度です。
100戸〜(大規模)の日常×定期頻度と月額目安
大規模は日常清掃を週3〜毎日で組み、床機械洗浄は月1、排水溝は年2回など定期メニューも厚くします。管理員業務と一体で受託するケースもあり、月額は月15万〜40万円程度と幅が出ます。複数棟をまとめて受託できれば効率が大きく改善します。
共用部の作業範囲と定期清掃メニューの決め方
トラブルの多くは「どこまでやるか」の認識ズレから生じます。作業範囲を最初にチェックリストで固めることが、後の値引き圧力を防ぎます。

日常清掃の作業範囲|エントランス・廊下・ゴミ置場
日常清掃の範囲は、エントランス・共用廊下・階段・エレベーター内・ゴミ置場・駐輪場・植栽まわりが基本単位です。以下のチェックリストで見積前に範囲を確定します。
| 共用部エリア | 日常清掃の主な作業 |
|---|---|
| エントランス・風除室 | 掃き拭き、ガラス扉の手垢除去、マット整え |
| 共用廊下・階段 | 掃き拭き、手すり拭き、蜘蛛の巣除去 |
| エレベーター | かご内床・壁・操作盤の清拭 |
| ゴミ置場 | ゴミ搬出補助、床洗浄、消臭・虫対策 |
| 駐輪場・外構 | 掃き掃除、落ち葉・ゴミ回収 |
| 植栽まわり | ゴミ拾い(剪定は別契約が一般的) |
定期清掃メニュー|床機械洗浄・ガラス・排水溝の頻度
定期清掃は専門機材で行う作業です。共用部床の機械洗浄は月1〜季1、ガラス清掃は季1〜年2回、排水溝・側溝や貯水槽まわりの清掃は年1〜2回が目安レンジです。高所ガラスは安全対策が必要なため、ガラス高所清掃の記事の内容も踏まえて仕様を切り分けます。
頻度設計の考え方(汚れ動線から逆算する)
頻度は「戸数」ではなく「汚れの動線」から逆算すると精度が上がります。エントランスから各戸への動線、ゴミ出しの曜日、来客の多寡で汚れやすい箇所は変わります。頻度設計の基本手順はオフィス清掃の頻度設計の記事で解説しており、考え方はマンション共用部にも応用できます。
管理会社案件の受注チャネルと継続受注のコツ
受注は一度取れば終わりではなく、継続してこそ採算に乗ります。チャネル開拓と、契約を守る運用の両輪が必要です。

受注チャネル|管理会社ルート・管理組合直・紹介
主力は地域の管理会社への提案です。管理会社は複数物件を抱えるため、1社との関係構築が複数棟の受注につながります。次に、自主管理物件の管理組合への直接提案、既存顧客からの紹介ルートを開拓します。飛び込みより、実績写真を添えた具体的な提案が効果的です。
見積提案の型|仕様書と作業範囲を明示する
提案では、作業範囲・頻度・使用資機材・報告方法を仕様書として明示します。範囲が曖昧だと「これもやって」の無償対応が積み上がり採算が崩れます。前掲のチェックリストを仕様書の別表として添付し、追加作業は別見積である旨を明記しておくと安全です。
写真付き作業報告で継続契約を守る
管理会社は理事会(管理組合)へ実施状況を報告する必要があります。清掃会社が写真付きの作業報告を毎回提出すれば、管理会社は理事会報告に転用でき、信頼が積み上がります。報告が滞ると相見積もりのきっかけになるため、報告の標準化が継続の鍵です。報告業務は作業報告アプリの記事のように仕組み化すると負担を抑えられます。
受注後の物件・採算・請求管理を仕組み化する
複数棟を受託すると、物件ごとの作業内容・採算・請求の管理が煩雑になります。ここを仕組み化できるかで、拡大できるかが決まります。

物件マスタと案件別採算で複数棟を回す
棟ごとに作業範囲・頻度・担当・契約金額を物件マスタで一元管理すると、引き継ぎや欠員時の対応が速くなります。物件台帳の整備手順は物件管理台帳の記事を参照してください。あわせて案件別に人件費・資材費を集計すれば、赤字物件を早期に発見できます。
管理会社指定フォーマットの請求に対応する
管理会社は独自の請求書フォーマットや締め日・支払サイトを指定することが多く、手作業だと転記ミスや遅延が起きがちです。契約情報から請求を自動生成できる仕組みがあれば、複数棟・複数管理会社への請求も安定して回せます。
よくある質問
マンション清掃の受注はどこから取るのが多いですか?
分譲マンションは管理組合が発注主体ですが(区分所有法 第3条の区分所有者の団体)、実務上は委託先の管理会社が清掃業者を選定・発注するケースが中心です。賃貸マンションはオーナーまたは管理会社が発注元になります。まず地域の管理会社への提案ルートを開拓するのが定石です。
30戸程度のマンションの清掃費用の月額目安は?
小規模(〜30戸)は日常清掃を週1〜2回、定期清掃を床機械洗浄=季1・ガラス=年1〜2回程度に組み、月額の清掃費レンジで提案するのが一般的です。目安は月2万〜5万円程度ですが、具体的なレンジは本文の戸数別早見表(自社見積実績+国交省マンション総合調査の管理費内訳から按分)を参照してください。金額は立地・築年・仕様で変動します。
日常清掃と定期清掃の違いは何ですか?
日常清掃はゴミ回収・掃き拭き・共用部の日常美観維持を高頻度(週1〜毎日)で行う作業、定期清掃は機械を使った床洗浄・ワックス・ガラス・排水溝清掃など専門作業を月次〜年次で行う作業です。国交省のマンション標準管理委託契約書でも清掃業務は独立して位置づけられており、マンション案件は両者を組み合わせて月額で提案します。
管理会社案件を継続受注するコツは?
作業範囲を仕様書で明示し、写真付きの作業報告を毎回提出して、管理会社が理事会へ報告しやすい状態を作ることが継続の鍵です。報告が滞ると相見積もりのきっかけになります。報告の標準化には作業報告アプリの活用が有効です。
マンション共用部の定期清掃はどのくらいの頻度が必要ですか?
共用部床の機械洗浄は月1〜季1、ガラス清掃は季1〜年2回、排水溝・貯水槽まわりの清掃は年1〜2回が目安レンジです。共同住宅は建築物衛生法の特定建築物に原則該当しないため、法令の頻度義務ではなく仕様書で取り決めます。戸数・利用者動線・仕様で変わるため、本文の戸数別早見表と作業範囲チェックリストで自案件に当てはめて設計してください。
まとめ|マンション共用部案件は継続受注で土台をつくる
マンション清掃は、管理会社・管理組合を発注元とする継続案件が中心です。戸数規模ごとに日常清掃と定期清掃を組み合わせ、月額で提案するのが基本の型になります。作業範囲をチェックリストと仕様書で固め、写真付きの作業報告で信頼を積み上げれば、相見積もりに強い継続契約を築けます。
受注後は物件管理台帳と案件別採算で複数棟を効率よく回し、作業報告アプリで報告を標準化することが拡大の条件です。頻度設計の基礎はオフィス清掃の頻度設計も参考にしてください。
戸数別の頻度と費用を、すぐ提案に使える形で。
管理会社への提案準備をショートカットしたい方へ。「マンション戸数別 清掃頻度×月額費用 早見表(PDF)」と「共用部の作業範囲チェックリスト」を無料でご用意しています。あわせて、提案に使える見積・仕様書テンプレの資料請求も承ります。


