
ビル清掃の料金相場・見積もり単価|坪単価の計算式と原価から逆算する方法
ビル清掃の見積もり単価とは、清掃面積(坪単位)に単価を掛けた基本料金に、作業難易度・頻度・時間帯要素を加味して算出する料金設計のことです。
ビル清掃の料金は「坪単価」を軸に組み立てられますが、建物種別・規模・清掃内容・地域によって大きく振れます。発注者は相場観を掴みたく、受注側の清掃会社は赤字案件を避けたい。両者の視点から必要な情報を整理します。
本記事では、建物種別ごとの坪単価の目安を早見表で示し、後半は受注側(清掃会社)が見積もりを設計する手順を原価から逆算する形で解説します。20〜40名規模の清掃会社が、見積もり業務を仕組み化するための実務ガイドです。

ビル清掃の料金相場|建物種別・坪単価
清掃料金の一般的な算出は「坪単価 × 清掃面積 × 頻度」を基本式にします。具体的な単価は建物種別・規模・地域・契約条件で大きく差が出るため、以下の早見表はあくまで目安レンジとしてご覧ください(出典: 業界誌・比較メディアで公開されている相場情報、および日本ビルメンテナンス協会「情報年鑑2024」の公表データを参考にしたレンジ。実際の単価は地域・物件規模・清掃内容・契約期間で大きく変動します)。
建物種別×坪単価の早見表
| 建物種別 | 日常清掃(月額・坪単価) | 定期清掃(回あたり・坪単価) | 備考 |
|---|---|---|---|
| オフィスビル(大規模) | 150〜300円 | 300〜600円 | 面積が大きいほど坪単価は下がる傾向 |
| オフィスビル(中小規模) | 300〜500円 | 500〜900円 | 20〜40坪規模は単価が上がりやすい |
| 店舗・商業施設 | 400〜800円 | 800〜1,500円 | 営業時間外作業は割増がかかる |
| マンション共用部 | 物件規模別の定額設定が多い | — | 階数・エレベーター有無で変動 |
| スポット清掃(ワックス) | 300〜900円/坪 | — | 床材と面積でレンジが広い |
| スポット清掃(ガラス) | 窓枚数・高所有無で設定 | — | 高所作業は安全費用を別途計上 |
あくまで目安レンジであり、実際の見積もりは地域の労務単価・作業難易度・移動費・資機材費で大きく変動します。
オフィスビルの日常清掃・定期清掃
オフィスビルの日常清掃は、平日毎日のゴミ回収・共用部清掃・トイレ清掃が中心です。定期清掃は月1〜2回のフロア床洗浄・ワックスがけが一般的です。
- 大規模ビル(1,000坪以上)ほど坪単価は下がりやすい
- 小規模ビル(100坪以下)は坪単価が上がる傾向
- 入居テナントの業種(飲食・医療・小売)で汚れ度合いが変わり、見積もり前提に影響
店舗・商業施設の清掃
営業時間外作業が前提になるため、深夜・早朝の割増単価が加わります。大規模商業施設では共用部とテナント内で契約主体が異なるケースが多く、見積もりの範囲を明確に定義することがトラブル防止に効きます。
マンション共用部の清掃
エントランス・廊下・エレベーター・ゴミ置き場・敷地外周などの定期清掃が中心です。物件規模(戸数・階数)による定額契約が主流で、坪単価換算よりも「物件単位の月額」で組まれることが多い領域です。
スポット清掃(ワックスがけ・ガラス清掃)
床材・窓枚数・高所有無で単価が大きく振れます。床材ではPタイル・リノリウム・石材で難易度が異なり、ワックス剥離を伴う作業は通常の1.5〜2倍の単価になります。ガラス清掃は高所作業の有無で安全管理費が別途乗ります。
見積もり単価を決める5つの要素

坪単価表は起点ですが、実際の見積もりは複数の要素の掛け合わせで決まります。受注側が見落としやすい要素も含めて整理します。
清掃面積と坪単価
清掃対象面積を正確に把握することが起点です。共用部の扱い、トイレ・給湯室などの特殊エリアの単価設定、駐車場や屋外エリアの計上範囲を事前に定義します。
作業時間と人工(にんく)
1日あたりの必要作業人数 × 作業時間で総工数を算出します。清掃業では「1人工=8時間」を単位に見積もる慣行が広く使われています。
清掃頻度(日常・週次・月次)
- 日常清掃(平日毎日): 月20〜22日稼働で計算
- 週次清掃: 週1回 × 月4〜5回
- 月次・定期清掃: 月1〜2回のワックスがけ・床洗浄など
頻度が増えるほど坪単価は下がる(総額は増える)のが一般的です。
作業難易度と必要資機材
高所作業・特殊床材・衛生エリア(厨房・医療関連)は、資機材と技術者要件が上がるため単価も上がります。ポリッシャー・高圧洗浄機などの資機材償却費も見積もりに織り込む必要があります。
移動時間と地域特性
複数物件を巡回する契約では、物件間の移動時間が稼働時間に計上されるかがポイントです。遠方物件は移動費の別途計上、駐車場代、燃料費も考慮対象です。地域の最低賃金・労務相場も単価設計に影響します。
原価から逆算する見積もりの作り方

ここからは受注側(清掃会社)の視点で、原価から逆算する見積もり設計の手順を解説します。相場表だけで見積もると、案件ごとに粗利が読めず、赤字案件を抱えるリスクが高まります。
人件費・材料費・間接費の内訳
見積もりの原価は大きく3分類で構成されます。
| 原価項目 | 内容 | 目安割合(案件により変動) |
|---|---|---|
| 直接人件費 | 現場作業員の賃金・社会保険料 | 総原価の50〜65% |
| 材料費 | 洗剤・ワックス・備品・消耗品 | 総原価の5〜15% |
| 間接費 | 移動・資機材償却・管理部門・車両費 | 総原価の20〜35% |
※上記比率は、清掃関連業界誌・事業者インタビュー等で公表されている一般的な清掃案件の原価構成目安です。契約条件・地域・物件規模・資機材要件により変動するため、自社の実績データで補正して運用してください。
このうち直接人件費が最も大きく、最低賃金の改定が直撃する部分です。毎年の見積もり改定時に必ず見直すべき項目です。
適正利益率の考え方
清掃業の営業利益率は、案件単位では10〜20%を目安に設計されることが一般的です。以下の計算ロジックで適正単価を逆算します。
- 現場の月間総工数を算出(人工 × 稼働日数)
- 直接人件費を算定(1人工単価 × 総工数)
- 材料費・間接費を上乗せ(案件規模による係数)
- 目標利益率を加味して請求額を確定
- 請求額 ÷ 清掃面積 = 提示可能な坪単価
この逆算プロセスを見積もりテンプレートに組み込んでおけば、属人判断に頼らずに案件ごとの粗利が一定化します。
赤字案件を見抜くチェックリスト

見積もり段階で以下のサインが出ている案件は、赤字化のリスクが高いと判断できます。
- 提示された予算が相場レンジの下限より15%以上低い
- 作業範囲の定義が曖昧で、追加要望が発生しやすい
- 顧客側が「前業者と同額で」と指定してくる(前業者の赤字撤退の可能性)
- 移動距離が長く、1日1物件しか回れない立地
- 特殊作業(高所・特殊床材)が含まれているのに追加料金が否定される
- 契約期間が1年以下で、初期投資の回収が難しい
2つ以上該当する案件は、単価交渉または受注辞退を検討する材料になります。
見積もり業務を効率化するツール活用

清掃業の見積もり業務は属人化しやすい領域です。担当者の経験値に依存したExcel見積もりは、担当交代・案件増加で破綻します。
Excelテンプレートの限界
Excelで見積もりを作成している会社で頻発する問題は以下のとおりです。
- 最新版ファイルがどれか分からない(バージョン管理問題)
- 単価マスタの改定が各ファイルに反映されない
- 過去見積もりの検索・参照に時間がかかる
- 見積もり→契約→請求で同じ情報を何度も入力する
見積もり〜請求まで一元化するメリット
案件管理・顧客管理・見積もり・請求をひとつのシステムで扱うと、以下が実現できます。
- 単価マスタの一元管理で改定漏れをゼロに
- 過去見積もりを顧客別・物件別で即検索
- 見積もり承認→契約→月次請求の流れが自動化
- 粗利分析が案件単位でリアルタイムに可視化
見積もり業務を仕組み化するツール選定の比較軸はビルメン案件管理システムの選び方|比較ポイント7つと導入失敗パターンで整理しています。顧客管理を含めた運用設計はビルメンテナンス業の顧客管理完全ガイドを参照してください。
よくある質問
坪単価の相場はどの資料で確認できますか
日本ビルメンテナンス協会(j-bma)の公表資料(「情報年鑑」等)や、業界誌・比較メディアで公開されている相場情報が参考になります。地域の労務単価は、国土交通省の建設労務単価や各自治体の最低賃金を参照してください。
赤字案件を受注してしまった場合の対応は
契約期間中の単価改定は難しいため、契約更新タイミングでの値上げ交渉が基本となります。契約前に「物価・労務費連動の見直し条項」を盛り込んでおくと、期中の改定交渉がしやすくなります。
20〜40名規模の清掃会社で見積もり業務を仕組み化するメリットは
案件数が増えると、見積もり担当者が経営者や特定の事務員に集中しやすくなります。仕組み化することで、営業担当・現場リーダーも見積もりが作れる体制になり、受注機会の取りこぼしを減らせます。
定期清掃とスポット清掃で単価設計は同じですか
異なります。定期清掃は継続性を前提に単価を抑え、スポット清掃は1回の作業コスト(移動・準備・撤収)をすべて回収する必要があるため単価が高くなります。両者を混同すると赤字化します。
管理会社経由の案件と直接契約で単価は変わりますか
管理会社経由では中間マージンが発生するため、実質単価は直接契約より下がる傾向があります。一方で営業工数の削減・案件の安定性というメリットがあるため、両ルートのバランスを経営判断で設計する領域です。
まとめ|見積もり業務の仕組み化で案件ごとの粗利を読めるようにする
ビル清掃の料金相場は坪単価を起点にしつつ、実際の見積もりは原価からの逆算で設計する方がブレません。20〜40名規模の清掃会社では、見積もり業務を属人化させず、テンプレート化・一元管理することで案件ごとの粗利が読めるようになり、赤字案件の予防につながります。
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