介護施設の清掃を受注するには|区域別の頻度と感染対策・嘔吐物処理の実務【2026年版】
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介護施設の清掃を受注するには|区域別の頻度と感染対策・嘔吐物処理の実務【2026年版】

2026年8月12日23分で読める

介護施設の清掃を受注するには、居室・食堂・浴室・トイレといった生活空間を毎日清掃する体制に加え、ノロウイルス等を想定した消毒と嘔吐物処理の手順・記録を発注者へ示せることが条件になります。

オフィスビルや商業施設で実績を積んだ清掃事業者が介護施設の受注を狙うとき、つまずくのは「一般清掃と何が違うのか」が見えにくい点です。入居者が在室したまま作業する生活空間で、感染症への備えをどう体制化し、どう提案書に落とすかが分からず、応札や見積の一歩を踏み出せないケースが少なくありません。

本記事では、厚生労働省『高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版』(2019年3月)に準拠した区域別の清掃頻度・消毒レベル早見表と、ノロウイルスを想定した嘔吐物処理の手順を整理し、受注につながる提案・見積・記録体制の作り方まで、受注側の清掃事業者向けにまとめます。

介護施設の居室・浴室・トイレを区域ごとに色分けし、清掃頻度と消毒レベルを示した早見図
介護施設の居室・浴室・トイレを区域ごとに色分けし、清掃頻度と消毒レベルを示した早見図

介護施設の清掃受注に必要な3つの条件

受注の結論|生活空間の日次清掃×感染対策×記録の提示

介護施設の清掃で発注者が重視するのは、次の3点をそろえて示せるかどうかです。第一に、居室・食堂・浴室・トイレなどの生活空間を毎日清掃する体制。第二に、ノロウイルスやインフルエンザを想定した消毒と嘔吐物処理の手順。第三に、いつ・どこを・どう清掃したかを残す清掃記録です。これらは厚生労働省『高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版』(2019年3月)が求める標準予防策や環境整備の考え方と重なり、提案書で具体的に示せるほど受注確度が上がります。作業の安さではなく、感染対策と記録で「任せられる」と判断されるのが介護施設清掃の特徴です。

一般オフィス清掃との違い|在室・生活空間・感染リスク

オフィス清掃との最大の違いは、入居者が生活している空間を、在室のまま清掃する点にあります。夜間の無人清掃が基本のオフィスと異なり、介護施設では入居者の動線や体調に配慮しながら日中に作業します。さらに、居室や浴室は「生活の場」であり、排泄・嘔吐に伴う感染リスクが常に隣り合わせです。清掃作業者自身の安全も重要で、防護具の着用や消毒剤の取り扱いは労働安全衛生の基本ルールに沿って体制化します。「感染を広げない」ことが求められる点で、受注要件は一般清掃と大きく異なります。

区域別の清掃頻度・消毒レベル早見表

居室・食堂・浴室・トイレ・接触部位の清掃頻度を並べた区域別早見表
居室・食堂・浴室・トイレ・接触部位の清掃頻度を並べた区域別早見表

居室・食堂・浴室・トイレの清掃頻度早見表

生活空間は日次清掃が基本です。下表は厚生労働省『高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版』(2019年3月)の環境整備の考え方をもとに、受注設計用に区域別へ再構成した目安です。

区域平常時の清掃頻度主なポイント
居室1日1回以上床・家具の清掃、換気、ゴミ回収
食堂・共用部食事のたび+1日1回食事前後のテーブル清拭、床清掃
浴室・脱衣所使用のつど・1日1回以上湿潤環境のため水気除去とカビ対策
トイレ1日複数回便座・洗浄レバー等の清拭消毒
汚物処理室使用のつど専用区画として清掃・消毒を分離

頻度は施設の規模・入居者数・契約内容で調整しますが、生活空間を日次で回す前提は共通です。

手すり・ドアノブなど高頻度接触部位の消毒頻度

多くの入居者や職員が触れる手すり・ドアノブ・スイッチ・ナースコール等の高頻度接触部位は、通常清掃とは別に1日複数回の清拭消毒が推奨されます(厚生労働省『高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版』2019年3月)。清拭には環境消毒用として0.02%(200ppm)の次亜塩素酸ナトリウム、またはエンベロープを持つウイルスにはアルコールを用います。接触部位を「点」で押さえることで、床面清掃だけでは防げない接触感染の連鎖を断つのが狙いです。受注時は、どの部位を1日何回消毒するかを仕様として明示すると、発注者が感染対策の実効性を評価しやすくなります。

平常時と感染発生時で頻度・消毒剤をどう切り替えるか

平常時は日次清掃と接触部位の清拭消毒が中心ですが、施設内でノロウイルスやインフルエンザの発生が確認された感染発生時には、清掃頻度と消毒レベルを引き上げます。具体的には、接触部位の消毒回数を増やし、汚染箇所には次亜塩素酸ナトリウムによる消毒を追加します。清掃事業者側は「平常時仕様」と「発生時仕様」の2段構えを事前に取り決めておくと、施設からの緊急要請にも遅滞なく対応できます。

感染対策と嘔吐物処理の実務手順

嘔吐物処理の手順を準備から廃棄まで順番に示したチェックリスト図
嘔吐物処理の手順を準備から廃棄まで順番に示したチェックリスト図

ノロ・インフルの消毒剤選択早見表(次亜塩素酸Na濃度)

消毒剤は対象ウイルスと用途で使い分けます。ノロウイルスはノンエンベロープウイルスで、アルコール消毒の効果が十分でないとされ、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が基本です。一方、インフルエンザ等のエンベロープを持つウイルスにはアルコールが有効です(厚生労働省の感染対策資料)。

用途消毒剤・濃度備考
嘔吐物・便の処理次亜塩素酸ナトリウム0.1%(1,000ppm)汚染箇所の拭き取り・消毒
環境消毒(手すり等)次亜塩素酸ナトリウム0.02%(200ppm)高頻度接触部位の清拭
インフル等の手指・環境アルコール(消毒用エタノール)ノロには効果不十分

濃度は厚生労働省『高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版』(2019年3月)に基づく目安で、次亜塩素酸ナトリウムは希釈後に効果が低下するため、使用のつど希釈します。

嘔吐物処理の手順チェックリスト(準備〜廃棄〜手指衛生)

嘔吐物は乾燥すると空気中に舞い、感染源になります。以下の順で速やかに処理します。

  1. 準備|使い捨て手袋・マスク・使い捨てエプロン、ペーパータオル、ビニール袋、0.1%次亜塩素酸ナトリウムを用意する
  2. 隔離|周囲の人を遠ざけ、換気しながら作業範囲を確保する
  3. 拭き取り|外側から内側へ、飛散させないようにペーパータオルで嘔吐物を静かに拭き取る
  4. 消毒|汚染箇所を0.1%次亜塩素酸ナトリウムで浸すように消毒し、一定時間おいて水拭きする
  5. 廃棄|使用したペーパー・手袋等はビニール袋に密閉して廃棄する
  6. 手指衛生|手袋を外したあと、石けんと流水で手洗いを徹底する

手順の根拠は厚生労働省『高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版』(2019年3月)です。作業者ごとに手順が揺れないよう、チェックリストとして掲示・携行できる形にしておきます。

発注者へ示す感染対策手順書・清掃記録の様式

受注時に差がつくのが、上記の頻度・消毒・処理手順を「手順書」と「記録様式」に落として提示できるかです。手順書には区域別頻度・消毒剤の濃度・嘔吐物処理フローを、記録様式には実施日・区域・作業者・消毒箇所・特記事項を盛り込みます。作業実態を写真とともに残せる清掃作業報告書アプリの活用を前提にすると、紙の記録より抜け漏れを防ぎやすくなります。様式の提示は、価格以上の説得材料になります。

受注につながる提案・見積の作り方

区域別の清掃頻度と作業人工から見積を組み立てる流れを示した図
区域別の清掃頻度と作業人工から見積を組み立てる流れを示した図

区域別頻度×作業人工から清掃見積を組む考え方

介護施設清掃の見積は、坪単価の当てはめではなく、区域別の清掃頻度と作業量から必要な人工(にんく)を積み上げて算出します。居室数・共用部の広さ・トイレや浴室の数に、それぞれの頻度を掛けて月間の作業量を出し、そこに接触部位消毒や嘔吐物処理対応の工数を上乗せします。区域と頻度を分解して積み上げることで、値下げ圧力に対しても「どの作業を削るとどう品質が下がるか」を数字で説明でき、根拠のある価格提示ができます。

提案書で差がつく項目(感染対策体制・記録の提示)

同じ価格帯でも、提案書に感染対策体制と記録様式を明記した事業者が選ばれやすくなります。差がつくのは、平常時と感染発生時の2段階仕様、消毒剤の濃度と対象部位、嘔吐物処理の手順、そして日次で残す清掃記録の見本です。生活空間の共用部清掃で培った動線設計はマンション共用部清掃の頻度設計の考え方とも共通し、在室環境での配慮点として提案に厚みを持たせられます。「何を・どの頻度で・どう記録するか」を先回りして示すことが、受注の決め手になります。

複数施設を回す清掃記録・報告体制の整え方

複数の介護施設の清掃記録と写真報告を一元管理する画面イメージ図
複数の介護施設の清掃記録と写真報告を一元管理する画面イメージ図

日次清掃記録と写真付き報告で清掃品質を可視化する

受注件数が増えると、施設ごとの日次記録と写真報告を紙やエクセルで管理するのが難しくなります。記録が現場に散らばると、発注者からの問い合わせや感染発生時の履歴確認に即応できません。スマートフォンで区域ごとのチェックと写真をその場で記録し、施設別に自動集約できる体制にすると、清掃品質を客観的に示せます。写真付きの日次記録は、感染対策が実行されている証跡になり、契約更新時の値下げ圧力を抑える材料にもなります。

物件マスタ・案件別採算で複数施設を管理する

複数の介護施設を安定して回すには、施設情報・清掃仕様・頻度・担当を物件マスタとして一元化し、シフトや報告と連動させる仕組みが有効です。ビルメンHUBは、物件マスタ・作業記録・写真報告・請求を1つのシステムでつなぎ、施設ごとの案件別採算まで可視化します。どの施設で工数が膨らんでいるか、どの契約が採算割れしているかを把握できれば、感染対策で手厚くすべき現場に人を回しつつ、全体の利益を守れます。

よくある質問

介護施設の清掃は毎日必要ですか?

居室・食堂・浴室・トイレなどの生活空間は基本的に日次清掃が想定され、手すり・ドアノブ等の高頻度接触部位は1日複数回の清拭消毒が推奨されます(出典:厚生労働省『高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版』2019年3月)。区域ごとの頻度は本文の早見表を参照してください。

嘔吐物の処理はどの濃度の消毒剤を使えばいいですか?

ノロウイルスを想定した嘔吐物・便の処理は次亜塩素酸ナトリウム0.1%(1,000ppm)、その後の環境消毒は0.02%(200ppm)が目安とされます。処理は使い捨て手袋・マスク・エプロンを着用し、外側から内側へ拭き取ってから消毒します(出典:厚生労働省『高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版』2019年3月)。

ノロウイルスの消毒にアルコールは効きますか?

ノロウイルスはノンエンベロープウイルスで、アルコール消毒の効果が十分でないとされ、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が基本です。一方でインフルエンザ等のエンベロープを持つウイルスにはアルコールが有効なため、対象に応じた使い分けが必要です(出典:厚生労働省の感染対策資料)。

介護施設の清掃を受注するのに資格や登録は必要ですか?

清掃作業そのものに国家資格は必須ではありません。介護施設は、建築物衛生法の特定建築物の用途(興行場・百貨店・店舗・事務所・学校・旅館等)に含まれず、原則として特定建築物には該当しません(建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令第1条)。実務上は、国家資格よりも感染対策の手順書と作業記録を提示できることが実質的な受注条件になります。個別物件の該当判定に迷う場合は所轄の保健所に確認してください。

介護施設清掃の単価・相場はどのくらいですか?

区域数・清掃頻度・入居者在室下での作業制約により単価は変動し、公表された相場統計は乏しいのが実情です。本文では相場値を断定せず、『区域別頻度×作業人工』から自社原価を積み上げて見積を組む方法を示しています。この積み上げ方式なら、施設ごとの条件差を反映した根拠ある単価を提示できます。

まとめ|介護施設清掃は「頻度・感染対策・記録」で受注する

介護施設の清掃受注は、生活空間の日次清掃体制、ノロウイルス等を想定した消毒・嘔吐物処理の手順、そして日次で残す清掃記録の3点を発注者へ示せるかで決まります。消毒剤は嘔吐物処理に0.1%、環境消毒に0.02%の次亜塩素酸ナトリウムを使い分け、ノロにはアルコールが効きにくい点を踏まえて選択します。見積は区域別頻度と作業人工から積み上げ、感染対策体制と記録様式を提案書に明記すると差がつきます。複数施設に広げる際は、清掃作業報告書アプリでの記録マンション共用部清掃の頻度設計の考え方も取り込んで、運営基盤を整えましょう。


介護施設清掃の受注準備を、早見表とチェックリストで

区域別の清掃頻度・消毒レベル早見表と、厚労省マニュアル準拠の嘔吐物処理手順チェックリストを1枚にまとめた資料を配布しています。清掃記録・写真報告のテンプレートもあわせてご請求いただけます。提案書づくりと記録体制の整備にそのままお使いください。

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