清掃見積の人工計算と歩掛積算|作業別の標準時間から単価を出す方法【2026年版】
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清掃見積の人工計算と歩掛積算|作業別の標準時間から単価を出す方法【2026年版】

2026年8月2日21分で読める

清掃の見積は、作業ごとの歩掛(標準作業時間)に面積を掛けて必要人工(にんく)を出し、それに人工単価と諸経費・利益を乗せて積算するのが基本です。勘や坪単価の当てはめではなく、作業量から単価を逆算します。

「相場が坪いくらだから」で見積を出すと、什器が多い・高所・夜間といった条件で人工が膨らみ、受注しても赤字になりがちです。単価の根拠を説明できず、値上げ交渉や入札でも押し負けてしまいます。

本記事は、日常清掃・定期清掃・床剥離ワックス・ガラス清掃といった作業別に、歩掛から必要人工を出し、そこへ労務単価・諸経費・利益を積み上げて積算単価を作る手順を、試算表と計算式で解説します。根拠には国土交通省『建築保全業務積算基準・同要領』など公的な積算資料を用います。

清掃見積の歩掛積算プロセス(歩掛→必要人工→積算単価)を示す図解
清掃見積の歩掛積算プロセス(歩掛→必要人工→積算単価)を示す図解

清掃見積の積算とは|歩掛・人工・単価の関係

歩掛・必要人工・積算単価の定義

歩掛(ぶがかり)とは、一定の作業量(床面積1㎡・什器1台など)を仕上げるのに必要な標準作業時間や標準人工数を示す係数です。必要人工(にんく)は、その作業を終えるのに要する延べ人日(1人が1日働く量=1人日)を指します。積算単価は、必要人工に人工単価を掛けた直接人件費へ、経費と利益を積み上げて算出した最終的な見積単価です。この三者は「歩掛×数量=必要人工」「必要人工×単価+経費=積算単価」という順でつながっています。

勘や坪単価の当てはめだけでは赤字になる理由

坪単価相場の当てはめは速い一方、実際の作業量や作業条件を反映しません。同じ床面積でも、什器が多い、ガラスが高所にある、夜間作業で移動時間が増えるといった条件で必要人工は大きく変わります。相場に合わせて単価を下げた結果、投入人工が想定を超えて原価割れするのが典型的な赤字パターンです。相場は最終チェックに使い、値決めの主軸は作業量からの積算に置くのが実務的です。

積算の全体フロー(歩掛→必要人工→単価→諸経費・利益)

積算は、(1)作業種別ごとに歩掛と対象数量を決める、(2)歩掛×数量で必要人工を出す、(3)必要人工×人工単価で直接人件費を出す、(4)直接経費・諸経費・一般管理費・利益を積み上げる、という流れで進みます。国土交通省の官庁営繕部が定める『建築保全業務積算基準・同要領』(令和5年版)でも、清掃は独立した業務区分として歩掛に基づく積算方法が示されています。

歩掛から必要人工を算出する計算式のイメージ図
歩掛から必要人工を算出する計算式のイメージ図

作業内容別の歩掛と必要人工の出し方(試算表)

日常清掃・定期清掃の歩掛目安と面積からの人工算出

必要人工は次の式で求めます。式は同じ内容を別の表し方にしたものです。

  • 必要人工(人日)= 対象面積 ÷ 歩掛能率(㎡/人日)
  • 必要人工(人日)= 対象面積 × 単位あたり標準時間 ÷ 1人日の実働時間

日常清掃は掃き・拭き・ゴミ回収が中心で、単位面積あたりの所要時間が小さく能率は高くなります。カーペット洗浄や定期の床面手入れなど定期清掃は、日常清掃より能率が下がります。能率の数値は物件条件で変わるため、公的基準を出発点にしつつ自社の実測値へ置き換えるのが精度の近道です。

床剥離ワックス・ガラス清掃の歩掛と特殊作業の扱い

床剥離ワックスやガラス清掃は、日常清掃より単位あたり所要時間が大きく、作業頻度も定期(年数回)です。日常清掃とは分けて、数量×歩掛で個別に人工を積算します。高所作業・安全対策・機材運搬などが加わる場合は、後述の作業条件係数で歩掛を補正します。

歩掛×面積→必要人工の計算式と作業別試算表

下表は計算の型を示す試算例です。能率は物件で変動するため、必ず自社の実測歩掛に置き換えて使ってください。

作業種別歩掛能率の例(㎡/人日)対象面積の例計算必要人工(人日)
日常清掃(オフィス床)1,0003,000㎡3,000÷1,0003.0
定期清掃(カーペット洗浄)250500㎡500÷2502.0
床剥離ワックス100400㎡400÷1004.0
ガラス清掃150300㎡300÷1502.0

出所の考え方=国土交通省『建築保全業務積算基準・同要領』(令和5年版・第4章 清掃)。表中の能率は解説用の例であり、公表値そのものではありません。

作業種別ごとの歩掛と必要人工を並べた試算表のイメージ
作業種別ごとの歩掛と必要人工を並べた試算表のイメージ

人工単価と積算単価の作り方

人工単価(労務単価)の考え方と公共資料の参照

人工単価は、自社の実際の人件費(賃金+法定福利費等)を1人日あたりに換算した値を基本とします。目安として、公共の保全業務では『建築保全業務積算基準』の労務費が、原状回復など建設工事を伴う場合は国土交通省『公共工事設計労務単価』の関連職種単価が参照されます。後者は令和8年3月から適用の改定で全国全職種の加重平均が25,834円となり14年連続で上昇しました(国土交通省報道発表・令和8年2月)。ただし同単価は建設工事の職種が対象で、ビル清掃業務そのものの単価ではない点に注意し、清掃は保全業務積算基準・自社原価を軸に置きます。

直接人件費+直接経費+諸経費+一般管理費+利益の積み上げ

積算単価は、直接人件費を起点に経費と利益を段階的に積み上げます。各率は自社実績と基準に基づき設定します。

積算項目内容金額の例
直接人件費必要人工 × 人工単価積算の起点
直接経費洗剤・ワックス・資機材・消耗品直接人件費に加算
諸経費(現場管理費)現場運営・移動・保険等直接費に率を乗じる
一般管理費本社経費・間接部門上記に率を乗じる
利益事業継続に必要な利益最後に上乗せ

率の水準は『建築保全業務積算基準』や自社の実績原価から設定し、勘だけで置かないことが重要です。

積算単価の算出例(作業別モデルケース)

例えば床剥離ワックス400㎡・能率100㎡/人日なら必要人工は4.0人日。人工単価を仮に1人日あたりの自社換算額とすれば、直接人件費=4.0×人工単価となり、ここへ直接経費(ワックス等)・諸経費・一般管理費・利益を順に加えて見積総額を確定します。単価を先に決めるのではなく、作業量から積み上げる順序を守ることで、根拠のある金額になります。原価の考え方は原価管理の基本や案件別採算管理とあわせて設計すると精度が上がります。

積算単価の積み上げ構造(直接人件費から利益まで)を示す図
積算単価の積み上げ構造(直接人件費から利益まで)を示す図

積算精度を上げる実務ポイントとよくある失敗

現地調査で歩掛を補正する(作業条件係数の考え方)

同じ面積でも作業条件で必要人工は変わります。現地調査で条件を確認し、歩掛を補正します。

作業条件補正の方向主な理由
什器・机が多い人工を増やす移動・避けながらの作業で能率低下
高所・脚立/ゴンドラ人工を増やす安全確保・段取りに時間
夜間・時間帯制約人工を増やす割増・段取り替え・移動増
広くて障害物が少ない人工を減らす機械化で能率向上

補正幅は自社実績で検証し、根拠を明細に残します。

作業条件による歩掛補正(什器・高所・夜間で人工増、広く障害物少で人工減)を示す図
作業条件による歩掛補正(什器・高所・夜間で人工増、広く障害物少で人工減)を示す図

見積根拠を残して価格交渉・入札に備える

歩掛・数量・必要人工・単価・諸経費率の内訳を明細として保存すると、価格交渉や公共入札での説明、次回更新見積の再利用に使えます。相場ではなく作業量に基づく根拠は、値上げ交渉の説得力にも直結します。見積書の作り方や相見積もりで選ばれる工夫とあわせて運用しましょう。

案件別採算で歩掛を実績に更新し続ける仕組み

見積の歩掛は、実際に投入した工数と突き合わせて更新してこそ精度が上がります。案件ごとに積算根拠と実績工数を記録し、差異を分析して次回の歩掛に反映するサイクルを回します。属人的な勘に頼らず、実績データで歩掛を育てることが、継続的な採算改善につながります。

よくある質問

清掃の人工計算はどうやるのですか?

対象面積を歩掛(1人日あたりの標準作業能率)で割る、または対象面積×作業単位あたり標準時間÷1人日の実働時間で必要人工(にんく)を算出します。求めた必要人工に人工単価を掛けたものが直接人件費で、これに諸経費・利益を積み上げて積算単価とします。歩掛の基準値は国土交通省『建築保全業務積算基準・同要領』(令和5年版)を参照し、数値は最新版・自社実績で確認します。

歩掛とは清掃見積で何を指しますか?

歩掛とは、一定の作業量(例:床面積1㎡や什器1台)を仕上げるのに必要な標準作業時間・標準人工数を示す係数です。清掃見積では作業種別(日常・定期・床剥離・ガラス等)ごとに歩掛が異なり、これに対象数量を掛けて必要人工を導きます。公共案件では国土交通省『建築保全業務積算基準・同要領』の清掃の項が標準歩掛の根拠になります。

人工単価はいくらで見ればよいですか?

自社の実際の人件費(賃金+法定福利費等)を1人日あたりに換算した値を基本とします。原状回復など建設工事を伴う場合の目安として、国土交通省『公共工事設計労務単価』の関連職種単価を参照できます(令和8年3月適用は全国全職種平均25,834円)。ただし同単価は建設工事の職種が対象で、清掃業務は保全業務積算基準・自社原価を軸に置きます。労務単価は毎年改定・地域別のため最新版を確認してください。

坪単価で見積を出すのと何が違うのですか?

坪単価(相場)の当てはめは速い一方、作業量・作業条件を反映しないため、什器が多い・高所・夜間などの物件で人工が膨らみ赤字化しやすくなります。歩掛積算は作業量から必要人工を逆算するため根拠が明確で、価格交渉や入札の説明に耐えます。相場は最終チェック、値決めの主軸は歩掛積算という使い分けが実務的です。

床剥離やガラス清掃など特殊作業の歩掛はどう扱いますか?

床剥離ワックスやガラス清掃は日常清掃より単位あたり所要時間が大きく、作業頻度も定期(年数回)であるため、日常清掃とは分けて数量×歩掛で個別に人工を積算します。高所・安全対策・機材運搬などが加わる場合は作業条件係数で歩掛を補正します。基準歩掛は保全業務積算基準を参照し、自社実績で補正するのが精度向上の近道です。

見積の積算根拠は残しておくべきですか?

残すべきです。歩掛・数量・必要人工・単価・諸経費率の内訳を明細として保存しておくと、価格交渉や公共入札での説明、次回更新見積の再利用、実績との差異分析に使えます。案件ごとに積算根拠と実績工数を突合できる状態にしておくと、歩掛を実態に合わせて更新でき、見積精度が継続的に上がります。

まとめ|作業量から単価を逆算する

清掃見積は、歩掛(標準作業時間)×数量で必要人工を出し、人工単価・直接経費・諸経費・一般管理費・利益を積み上げて積算単価を作るのが基本です。坪単価の当てはめは最終チェックにとどめ、値決めの主軸は作業量からの逆算に置きます。歩掛は国土交通省『建築保全業務積算基準・同要領』を出発点に、自社の原価管理の基本で実測値へ更新し続けることで精度が上がります。作った見積は見積書の作り方の様式に落とし込み、受注後は案件別採算管理で実績工数と突合しましょう。相場感の確認にはビル清掃の料金相場も参考になります。


歩掛積算をシート1枚で

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