
清掃の発注書テンプレート|取適法(旧下請法)4条書面の記載事項と記入例【2026年版】
清掃の発注書は、協力会社や資材業者へ仕事を委託するときに交付する取引帳票です。取適法(中小受託取引適正化法。旧・下請法)が適用される取引では、発注時に「4条書面(発注書)」を交付する義務があり、給付の内容・製造委託等代金の額・支払期日・支払方法などの法定項目を漏れなく記載します。
定期清掃の一部を協力会社に回す、洗剤や資材をまとめて発注する。清掃・ビルメン会社は「受注側」であると同時に、日常的に「発注側」でもあります。ところが見積書や請求書はテンプレートを整えていても、発注書だけは口頭やLINEで済ませている現場は少なくありません。
本記事では、清掃業の発注書に何を書くべきか、取適法4条書面の必須記載事項12項目を早見表と記入例で整理し、交付・保存の実務までまとめます。2026年1月施行の取適法に対応し、様式を埋めて発注できる状態を目指します。

清掃業の発注書とは|注文書・注文請書・取適法4条書面の関係
発注書・注文請書・見積書・請求書の違い(取引帳票の全体像)
取引の流れに沿って帳票を整理すると役割が見えます。見積書は「いくらでできるか」を提示する書面、発注書(注文書)は「この内容で頼む」という発注側の意思表示、注文請書は「その内容で承ります」という受注側の承諾、請求書は「代金を請求する」書面です。
清掃業では、自社が元請から仕事を受ける場面と、協力会社・資材業者へ発注する場面が混在します。発注書は後者、つまり自社が発注側に立つときの帳票です。見積書の作り方や請求書テンプレートとは目的が異なるため、様式を分けて管理します。
取適法が適用される取引か(資本金・従業員数基準と役務提供委託の判定)
清掃・ビルメンテナンスの外注は、取適法上の「役務提供委託」に当たり得ます。2026年1月施行の取適法(旧・下請法)では、従来の資本金区分に加えて従業員数基準が新設されました。役務提供委託の場合、委託事業者(発注側)が常時使用する従業員100人超で中小受託事業者(受注側)が100人以下、または委託事業者の資本金が5,000万円超で中小受託事業者が5,000万円以下(等)のときに適用されます。資本金基準または従業員数基準のいずれかに該当すれば適用対象です(公正取引委員会)。製造委託等では従業員300人基準となります。
ビルメン会社が受託している清掃業務の一部を別の清掃会社へ再委託する取引は、役務提供委託の典型例です。自社が該当するかは、資本金と従業員数の両基準で確認してください。
なぜ受注側の清掃会社も発注書を整備すべきか(再委託・資材発注)
「うちは受注側だから発注書は関係ない」と考えがちですが、自社より小さい協力会社へ再委託した瞬間、自社が委託事業者になります。発注書を整えていないと、支払遅延や条件の言った言わないのトラブル、取適法違反のリスクを自ら抱えることになります。
資材・消耗品の発注でも、金額や納期を書面化しておくことは原価把握の第一歩です。発注段階の条件が曖昧だと、後工程の原価管理まで狂います。

取適法4条書面の必須記載事項【12項目早見表と記入例】
4条書面の必須記載事項 早見表(項目/清掃業の記載例/漏れた場合のリスク)
取適法第4条は、発注時に一定事項を記載した書面を交付するよう義務づけています(旧・下請法の3条書面に相当)。清掃業の実務に置き換えると次のとおりです。
| 記載項目(4条書面) | 清掃業での記載例 | 漏れた場合のリスク |
|---|---|---|
| 委託事業者・中小受託事業者の名称 | 発注元/受注先の商号 | 当事者不明確 |
| 委託をした日(発注日) | 2026年◯月◯日 | 交付時期の争い |
| 給付の内容 | 物件名・清掃仕様・回数 | 作業範囲の紛争 |
| 給付を受領する期日 | 作業完了日・納品日 | 納期トラブル |
| 給付を受領する場所 | 対象物件の所在地 | 履行場所の不明確 |
| 検査を完了する期日 | 完了確認の期限 | 検収遅延 |
| 製造委託等代金の額 | 1回◯円/月額◯円 | 代金の争い |
| 製造委託等代金の支払期日 | 受領後◯日以内 | 支払遅延・違反 |
| 支払方法(振込等) | 銀行振込 等 | 決済条件の不明確 |
| 一括決済方式の条件 | 該当時のみ記載 | 制度上の不備 |
| 電子記録債権の条件 | 該当時のみ記載 | 制度上の不備 |
| 原材料等有償支給の内容と対価 | 洗剤等を支給する場合 | 相殺トラブル |
出所は取適法第4条・関係規則(公正取引委員会)です。取適法では手形等による支払いは禁止される方向で、紙の手形・小切手は経過措置で廃止が予定されているため、支払方法は銀行振込などを前提にします。金額の算定方法が発注時に定められない正当な理由があるときは、その理由と定める予定日を記載し、確定後に補充書面を交付します。
清掃再委託の発注書 記入例(定期清掃1件を協力会社へ委託)
定期清掃1件を協力会社へ再委託する想定の記入例です(取適法を踏まえ自社作成)。
| 欄 | 記入例 |
|---|---|
| 発注日 | 2026年4月1日 |
| 給付の内容 | ◯◯ビル 共用部定期清掃(床洗浄ワックス・ガラス清掃)月1回 |
| 受領期日・場所 | 毎月末日・◯◯ビル(東京都◯◯区) |
| 検査完了期日 | 作業完了報告の翌営業日 |
| 製造委託等代金の額 | 1回あたり40,000円(税抜) |
| 支払期日 | 給付受領日から起算して60日以内 |
| 支払方法 | 銀行振込(手数料は当社負担) |
給付内容は「品目・数量・規格・仕様等を明確に」記載します(公正取引委員会)。作業回数や範囲は具体的に書き、後日の解釈違いを防ぎます。
電磁的方法による提供(メール・PDF発注の条件)
4条書面は書面交付が基本ですが、取適法では委託事業者の判断で電磁的方法(電子メール・PDF等)により交付できます。旧・下請法と異なり、中小受託事業者の事前承諾は不要になりました。ただし中小受託事業者から書面の交付を求められたときは、遅滞なく書面を交付する必要があります(公正取引委員会)。
メール発注に切り替える場合も、記載すべき12項目が欠けていれば書面交付義務を果たしたことになりません。テンプレート化しておくと、媒体が変わっても記載漏れを防げます。

清掃発注書テンプレートの作り方と注意点
テンプレートに盛り込む項目チェックリスト
テンプレートは、前述の12項目を欄として並べるのが出発点です。加えて実務では、発注番号(案件との紐づけ)、担当者名・連絡先、支払口座、特記事項(鍵の受け渡し・作業条件)を設けると運用が安定します。
案件番号を発注書・注文請書・請求書で共通化しておくと、後の突合や案件別採算管理がスムーズになります。様式は物件種別ごとに使い分けるより、共通テンプレートに可変欄を持たせるほうが記載漏れを防げます。
注文請書の書き方と収入印紙(印紙税の扱い)
注文請書は、発注を受けた側が「承ります」と承諾を示す書面です。取適法の交付義務があるのは発注側の4条書面(発注書)で、注文請書は契約成立を明確にするための任意書面という位置づけです。
印紙税は、注文請書の内容が請負契約に当たると第2号文書(請負に関する契約書)として課税され得ます(印紙税法・国税庁)。一方、単なる注文書・発注書は原則不課税ですが、継続的取引の基本契約書に当たる場合は第7号文書として課税対象です。具体的な税額は契約金額の区分によるため、国税庁タックスアンサーで確認してください。
よくある不備と取適法違反のリスク(買いたたき・支払遅延)
書面はあっても、代金額を空欄のまま先に着手させる、口頭で値引きを迫る、といった運用は違反の温床です。取適法は、製造委託等代金の支払遅延、買いたたき、不当な受領拒否などを禁止行為として定めています。
とくに再委託が絡む取引は、業務委託契約と偽装請負の論点とも隣接します。発注書を整えることは、契約実態を書面で裏づける防御策にもなります。

発注書・注文請書の交付と保存の実務
交付タイミングと取引書類の保存義務(2年)
4条書面は「発注(委託)後、直ちに」交付する義務があります(取適法第4条)。口頭で先に発注し、書面を後回しにするのは避けます。
あわせて委託事業者は、取引の内容(発注時の条件・受領期日・検査結果・支払った代金額や支払日など)を記載した書類を作成し、2年間保存する義務があります(旧・下請法の5条書類に相当。公正取引委員会)。発注書の控えや支払記録を案件単位でまとめて残す運用が安全です。
支払期日・遅延利息(年14.6%)のルール
製造委託等代金の支払期日は、給付を受領した日から起算して60日以内で、かつできる限り短い期間で定めなければなりません(取適法/公正取引委員会)。この期日を過ぎて支払うと、受領日から60日を経過した日(61日目)から実際の支払日まで、年14.6%の遅延利息が発生します(公正取引委員会)。
発注書に支払期日を明記し、期日管理を仕組み化しておくことが、遅延利息リスクを避ける最も確実な方法です。

発注書・帳票管理を効率化する方法
見積・発注・請求が散在するリスクと一元管理
見積はExcel、発注はメール、請求は別ソフトと帳票が散在すると、案件番号の紐づけが切れ、記載漏れや支払遅延の検知が遅れます。取適法対応の観点でも、どの取引でいつ何を交付し、いつ支払ったかを一気通貫で追える状態が望ましいといえます。
紙とスプレッドシートの限界を感じたら、案件を軸に帳票をつなぐ発想へ切り替えるタイミングです。
ビルメンHUBで案件・帳票・案件別採算を連動させる
ビルメンHUBは、物件・案件情報に見積・発注・請求の帳票をひも付けて管理し、支払期日や採算を案件単位で見える化することを狙った、清掃・ビルメン向けの業務管理サービスです。発注書に必要な項目をテンプレート化しておけば、再委託や資材発注のたびに記載漏れを防ぎ、保存も一元化できます。
導入検討の第一歩として、まずは自社の帳票運用を棚卸しし、散在している帳票を1つの流れに乗せられるかを確かめてみてください。
よくある質問
清掃の発注書に決まった様式はありますか?
法律で定められた統一書式はありませんが、取適法が適用される取引では4条書面として、給付の内容・製造委託等代金の額・支払期日・支払方法などの法定項目の記載が必須です(取適法第4条/公正取引委員会)。自社様式で問題ありませんが、記載項目の充足が条件です。
取適法の4条書面には何を書けばいいですか?
委託事業者・中小受託事業者の名称、委託をした日、給付の内容、給付を受領する期日と場所、検査を完了する期日、製造委託等代金の額(算定方法)、支払期日、支払方法などです(取適法第4条・関係規則)。詳細は本文の12項目早見表を参照してください。
発注書と注文請書はどちらが必要ですか?
取適法上の交付義務があるのは、発注者側が出す4条書面(発注書)です(取適法第4条)。注文請書は受注側が承諾を示す任意の書面で、契約の成立を明確にする目的で併用されます。両者は役割が異なります。
清掃の発注書や注文請書に収入印紙は必要ですか?
請負契約に該当する内容の注文請書は、印紙税法上の第2号文書として課税される場合があります。単なる発注書は原則不課税ですが、継続的取引の基本契約書に当たると第7号文書として課税対象です(印紙税法・国税庁タックスアンサー)。金額区分ごとの税額は国税庁で確認してください。
発注書はいつまでに交付する必要がありますか?
取適法では、発注(委託)後、直ちに4条書面を交付する義務があります(取適法第4条)。口頭発注のまま書面を後回しにすると違反リスクがあるため、発注と書面交付は同時に行うのが原則です。
発注書はメールやPDFで交付してもいいですか?
取適法では、委託事業者の判断で電磁的方法(メール・PDF等)により4条書面を交付できます。中小受託事業者の事前承諾は不要です。ただし中小受託事業者から書面の交付を求められたときは、遅滞なく書面を交付してください(公正取引委員会)。
発注書の控えはどのくらい保存する必要がありますか?
委託事業者は、取引の内容を記載した書類を作成し、2年間保存する義務があります(取適法。旧・下請法の5条書類に相当)。発注書の控えや支払記録を案件単位で残すと、この義務を満たしやすくなります。
まとめ|清掃の発注書は取適法12項目のテンプレート化から
清掃業の発注書は、単なる社内書式ではなく、取適法(旧・下請法)が適用される取引では4条書面としての法的要件を負う帳票です。給付の内容・製造委託等代金の額・支払期日など12項目を漏れなく記載し、発注と同時に交付、控えは2年間保存する。この流れをテンプレートに落とし込めば、再委託や資材発注のたびに迷わず整えられます。
支払期日60日以内・遅延利息年14.6%のルールも、発注書への明記と期日管理で確実に守れます。あわせて見積書・請求書・原価管理を案件番号で串刺しにすれば、帳票運用そのものが強くなります。
発注書テンプレートを、今日から使える形で。
取適法4条書面の12項目に対応した清掃発注書・注文請書テンプレートと「交付/保存チェックリスト」を無料でご用意しています。帳票の一元管理を相談したい場合は、資料請求・お問い合わせからどうぞ。


